宗教研究
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宗教文化士と学士力認定制度が宗教学会になげかけるもの : 評価・アカウンタビリティの要請とその危うさ(現代社会における宗教学の役割を問う,<特集>第六十七回学術大会紀要)
藤原 聖子
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2009 年 82 巻 4 号 p. 884-908

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抄録

昨年から宗教学会内では宗教文化士(仮称)制度、文科省では学士力認定制度が検討され続けている。今年六月には、学士力認定という高等教育の質保証システムに学会としても取り組むよう要請されることが明らかになった。両制度に共通するのは、臨床宗教学・応用宗教学ではない、いわば「素(す)の宗教学」について、その社会的役割が問われているという点である。この場合の社会的役割は、学生と社会に対する宗教学のアカウンタビリティをも意味する。教育の質保証と説明という社会的責任を果たしつつ、学の自律性と自由を守ることはできるだろうか。これまでの学会内での宗教文化士制度に関する審議では、その運営面での問題点に議論が集中し、「宗教に関する知識を習得することに資格を与える」ことが学問的にどのような問題を内包しているかについては十分に議論することがなかった。本論文では、宗教文化士制度と学士力認定制度の異同を整理した上で、それぞれの問題を指摘する。

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© 2009 日本宗教学会
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