宗教研究
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論文
  • 伊勢神宮と政教分離
    田中 浩喜
    2021 年 95 巻 3 号 p. 1-24
    発行日: 2021/12/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    本稿では、戦後日本の伊勢神宮を政教関係史の観点から論じる。戦後日本では、政教分離が大きな争点になってきた。特に靖国神社は、政教分離論争の象徴的存在として注目されている。反対に、伊勢神宮が社会の関心を集めることはほとんどなかった。本稿の主張は、伊勢神宮は戦後日本の政教分離の盲点であり続けてきたが、実際には政教分離の観点から議論されうる対象であるうえに、近年では地方レベルでも国政レベルでも政治と一層緊密な関係を結んでいるということである。本稿ではまず、伊勢神宮及び政教分離に関する近年の研究蓄積を紹介し、本研究の研究史上の位置づけを説明する(一章)。そして、政教分離の確立後も伊勢市が伊勢神宮と緊密な関係を維持してきたことを明らかにしたあと(二章)、国政レベルでの伊勢神宮の政治的重要性の高まりを指摘する(三章)。結論部では、近年の伊勢神宮の存在感の相対的向上と、靖国神社の存在感の相対的低下について考察する(四章)。

  • 吉見幸和の祭政観
    城所 喬男
    2021 年 95 巻 3 号 p. 25-48
    発行日: 2021/12/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    尾張大國霊神社の儺追神事は、寛保年間まで儺貞捕という儀礼が行われ、刃傷沙汰などの様々な混乱を引き起こしていた。そのため尾張藩では、この問題に対処するため、専門家として吉見幸和(一六七三―一七六一)に意見を求めた。彼は独自の国史官牒主義を打ち立て、故実に基づきそれまでの習合的な神道説を論断してきたことで知られている。しかし儺追神事について論じた『儺追問答』では、この神事について故実や習合的な神事といった点については半ば目をつむり、それよりも民を困苦させる「淫祀」であったことに、その批判の矛先を向けている。

    本論では、この『儺追問答』で幸和自身が自らの主張の基調にあったと述べている「正直ノ道」を手掛かりに、従来の研究史で語られてきた彼の思想を改めて問い直し、さらには彼の正直論が後の彼の神道の定義にも通底する祭政観の先駆的な実例であったことを明らかにした。

  • 地域で死に関わる医師の死生観の検討
    井口 真紀子
    2021 年 95 巻 3 号 p. 49-74
    発行日: 2021/12/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    医師の死生観は個人的な喪失体験に大きく影響を受けることが指摘されている。しかし医師の死生観に関する先行研究は一般論としての死についての検討が中心である。本稿では、地域で親を看取り開業医院を承継した三名の医師の喪失体験を検討し、彼らの死生観について検討した。人生の選択も完全な自由意志で決められない彼らの生き方は、与えられた条件をまず引き受けて、その中で何ができるか考えるという「受動性の自覚」を彼らの中に育んできた。この「受動性への自覚」は死にゆく人が苦悩するプロセスに関わるにあたって、積極的に受動的になることを選択するという役割意識と実践として現れている。彼らの役割意識を支えるのは、死者との「継続する絆」と苦悩の共鳴を通じた患者との相互承認である。この感覚が地域の悲しみに関わり続けることを引き受けることを支え、日本の地域社会で死に関わる医師の死生観を特徴付けるものである。

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