2024 年 14 巻 3 号 p. 361-367
厚生労働省が令和5年に開催した産学の有識者を構成員とする会議における議論を踏まえ,ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス対策として,通知「海外で臨床開発が先行した医薬品の国際共同治験開始前の日本人での第Ⅰ相試験の実施に関する基本的考え方について」が発出され,既存の通知等が整理された.新しい通知では,「日本が国際共同治験に参加する前に,利用可能なデータから,国際共同治験で検討される用法・用量が日本人治験参加者に適用されたときの安全性・忍容性が説明でき,かつ,安全性が臨床的に許容・管理可能かを検討したうえで,必要と考えられる場合を除き,原則として,日本人での第Ⅰ相試験を追加実施する必要はない」とされた点が注目されている.本項では,今回,国際共同治験参加前の日本人第Ⅰ相試験についての通知が改めて発出された経緯等の周知を図りたい.