レギュラトリーサイエンス学会誌
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シリーズ(医薬品・医療機器評価をめぐる最近の話題)
電子診療情報データベース(MID-NET)プロジェクトの現状と課題
高橋 史峰
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2015 年 5 巻 3 号 p. 235-243

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抄録
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では,これまで副作用自発報告,製造販売後調査結果等を主な情報源として,医薬品の安全性評価を行っており,それにより一定の成果が得られている.しかし,これらの副作用情報には,未報告,情報の不完全性,分母情報の欠如といった限界が知られている.そこで,安全対策業務の更なる強化・充実に向けて,PMDAでは第二期中期計画(平成21年度~25年度)においてMIHARI Projectを立ち上げ,電子診療情報による定量的な評価を行う体制の構築を目指してきた.第三期中期計画(平成26年度~平成30年度)では,この体制に基づき,評価及び調査等の結果を実際の安全対策措置に活用することを目標としており,さらに厚生労働省や協力医療機関(10拠点)と協力しつつ,新たなデータベースシステム(MID-NET)を開発中である.MID-NETにおいては,電子診療情報や医事データを変換・統合して,協力医療機関ごとにデータベース(統合データソース)に格納する.PMDA等の利活用者は,データ抽出条件をスクリプトとして作成し,それを「データセンター」から協力医療機関に送る.スクリプトを了承した協力医療機関は,集計結果データ等の出力結果をデータセンターに送り返し,利活用者はデータセンターへアクセスし,集計結果データ等を確認することが可能である.現在,PMDAは,平成30年度の本格運用に向けてMID-NETのデータ検証(バリデーション)を実施中である.MID-NETの運用により,定量的な安全性評価や,効果的な安全対策が可能となることが期待される.
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© 2015 レギュラトリーサイエンス学会
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