レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(リアルワールドデータの活用と課題について)
MID-NET®本格運用に向けた取り組み
猪俣 聡美伊藤 真和吏平田 花織石黒 智恵子稲角 嘉彦山口 光峰宇山 佳明
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2017 年 7 巻 3 号 p. 215-224

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抄録

MID-NET®は, 日本の10拠点23病院で構成される, 医療情報のデータベースシステムおよび関連ネットワークの総称である. MID-NET®構築の目的は, Real World Dataを活用した薬剤疫学的調査を通じて医薬品の効果的な安全対策を促進することである. MID-NET®は各拠点にデータベースを設置している分散型データベースであり, 各拠点のデータは, 共通のデータ形式に変換されている. MID-NET®のデータソースには, 各拠点で保存されている, 2009年以降の傷病, 診療行為, 処方, 検体検査などのデータが含まれ, 2018年におけるデータベース規模は約400万人になる見込みである. MID-NET®のデータ品質が高いことは, 病院情報システムデータとMID-NET®データベースのデータ間での整合性を確認することで担保されている. MID-NET®の利活用者はオンサイトセンターから各拠点のMID-NET®データベースにアクセスして分析することが可能であり, PMDAではベネフィット・リスク評価のためのいくつかの試行的利活用を実施している. 現在, 2018年度からの本格運用開始に向けた最終段階であり, 製薬企業やアカデミアなどが参照する利活用ルールの策定や利活用者の利用料の議論を進めている.

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© 2017 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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