日本リモートセンシング学会誌
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オホーツク海海水の変動
海氷密接度の改良アルゴリズムと気候変動
西尾 文彦長 幸平
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1996 年 16 巻 2 号 p. 112-117

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抄録

オホーツク海の海氷は北半球で,冬期間,最も南限に存在する一年氷である。海氷面積の年々変動は,オホーツク海のほぼ全域(80%以上)覆う年(1978年)もあれば,約40%の海域にしか海氷が発達しない年(1984年)もあり,オホーツク海の海氷面積の変動は大きい。
オホーツク海の海氷面積を,気象庁の海氷統計資料および1987年から1994年までのマイクロ波放射計データ(SSM/I)を用いて,アルゴリズムの改良を加えて検討したところ,オホーツク海の海氷面積の年々変動とエルニーニョ現象との相関があることを確認することができた。つまり,エルニーニョ年は海氷面積が大きく,翌年には海氷面積が小さいという相関がある。そして,この関係は,従来からも指摘されているように,エルニーニョ年には東西風が卓越して,風の応力によって海氷をオホーツク海の全域に拡大する働きがあることを定性的に示している。今後は,さらにアルゴリズムの改良とマイクロ波データを用いて,ベーリング海や北極海域での海氷とオホーツク海の海氷との関連の調査継続していく。

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