日本リモートセンシング学会誌
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16 巻 , 2 号
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  • 野田 彰, 中川 慎治, 本井 達夫, 行本 誠史, 時岡 達志
    1996 年 16 巻 2 号 p. 89-99
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    気象研究所で開発された大気海洋結合モデルを用いて二酸化炭素漸増(年率1%の複利で増加)実験を行い,気候が時間的にどの様な応答を示すかを調べた。時間積分は二酸化炭素が倍増する70年間について行った。ここでは北半球高緯度地域における気候の時間的応答,特にオホーツク海の温暖化に焦点を当てて議論する。
    北極点付近の昇温が最大になるのは70年積分の最後の方であった。この事実と地表面のエネルギーフラックスの時間変化から,リード(海氷の割れ目)による負のフィードバック効果が極域での応答を強く支配していることが示唆される。
    北半球高緯度地域においては,海氷・雪氷/アルベードのフィードバック効果が二酸化炭素によって引き起こされた温暖化の主因となっているが,オホーツク海の熱収支を調べた結果,海氷生成の南限における温暖化では,(波数3をとる)冬の定常プラネタリー波による影響をある程度受けていることが示された。極域の南の境界で温暖化が極大となる場所,すなわち,オホーツク海,バレンツ海,ハドソン湾は定常プラネタリー波のトラフ(谷)に対応している。この事実は,観測される冬の定常プラネタリー波の特にトラフに着目することによって,実際の気候における二酸化炭素による地球温暖化の信号の検出として応用できる。従って,衛星のリモートセンシングの技術を用いてこれらオホーツク海等の地域の海氷を長期に渡って監視することは地球温暖化の検出に強力な基礎を与えることになる。
  • 榎本 浩之
    1996 年 16 巻 2 号 p. 100-111
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    オホーツク海は,北半球の最低温域であるシベリアからの寒気の吹き出しを受け,冬は海水に覆われた極域の海洋の様相を呈している。オホーツク海北西部では,海氷生産,高塩分水の形成,大きな温度差を持つ大気と海洋の間の熱交換などが盛んに行われている。ここで形成された海氷は沖に吹き流され,沿岸部において新たな開水面の出現や,薄い海氷域の形成がおきている。海氷が厚くなるに従い,海氷成長速度は急に減少するが,このような開水面や薄氷域が維持されている場合は,海氷は高い生産率で形成され続ける。現在の海氷情報は,観測範囲内に海氷が占める面積の百分率として計算される「海氷密接度(iceconcentration)」が主であり,この海氷密接度により海氷変動をモニターしたり,アルベードや熱交換の推定を行っている。マイクロ波放射計から得られる海氷情報も,密接度が中心であり,その他に一年氷と多年氷の判別があるが,オホーツク海の北西部やサハリン沿岸部などの薄氷域が出現する地域では,新しい観測要素として厚さの情報抽出も重要である。
    この研究では,リモートセンシングによって試みられでいる海氷の厚さの検出方法を紹介し,特にNOAAのAVHRRによる海氷の表面温度から推定する方法と,DMSPのSSM/1によるマイクロ波データから推定する方法を試みた。表面温度から推定する方法は,海氷と大気に挾まれた海氷内の熱伝導が平衡状態となっていると仮定して海氷の厚さを推定するため,気象条件が変わった場合や厚い氷では誤差が多くなる。マイクロ波放射計による観測では,37GHzと19GHzの差で表されるGR(gradient ratio)と19GHzの水平偏波と垂直偏波の差で表されるPR(poralization ratio)の組み合わせ(scatter plot)から,薄氷域ではPRに関係なくGRの値がほぼ0を示し,他の一年氷の特徴(PRとともにGRも変化する)と異なる性質を薄氷の判別の基準にしている。この方法により,オホーツク海に広がる海氷域内の薄氷域分布とその時間変化を求めた。
    マイクロ波放射計の空間分解能は20km~30kmと赤外センサーより格段に劣るが,天候に関係なく,さらに毎日の観測が可能であることから,その特徴を生かして連続データの作成を行い,海氷面積と薄氷域面積の拡大縮小を観察した。サハリン湾など薄氷域の顕著な地域では,海氷面積の拡大過程において,寒気の吹き出しによる海氷の沖への移動と沿岸部での薄氷域の拡大が同時に生じている。その後,薄氷域では厚さの増加がおこり,面積だけでなく実質的な氷量の増加になって行くことが,連続データの解析から示唆される。
    このような薄氷域は,特にオホーツク海で顕著である。また,北極海の沿岸部などにも多く存在している.従来の海氷データでは,多年氷とマイクロ波特性が似ていたため,これらの地域では,厚さ2cm~30cm以下の薄氷域が誤って多年氷(一般に厚さ数m程度)と解釈されていた。この違いにより海氷面積には差は出ないものの,海氷生産量や,熱交換,動力学には大きな差が生じる。このような,薄氷域の検出により,海氷量の推定精度,特に結氷など海氷生産に関わる情報の抽出が改良され,大気一海氷一海洋間での相互作用など海氷域の気候研究にとって有効な情報が得られると考えられる。
  • 西尾 文彦, 長 幸平
    1996 年 16 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    オホーツク海の海氷は北半球で,冬期間,最も南限に存在する一年氷である。海氷面積の年々変動は,オホーツク海のほぼ全域(80%以上)覆う年(1978年)もあれば,約40%の海域にしか海氷が発達しない年(1984年)もあり,オホーツク海の海氷面積の変動は大きい。
    オホーツク海の海氷面積を,気象庁の海氷統計資料および1987年から1994年までのマイクロ波放射計データ(SSM/I)を用いて,アルゴリズムの改良を加えて検討したところ,オホーツク海の海氷面積の年々変動とエルニーニョ現象との相関があることを確認することができた。つまり,エルニーニョ年は海氷面積が大きく,翌年には海氷面積が小さいという相関がある。そして,この関係は,従来からも指摘されているように,エルニーニョ年には東西風が卓越して,風の応力によって海氷をオホーツク海の全域に拡大する働きがあることを定性的に示している。今後は,さらにアルゴリズムの改良とマイクロ波データを用いて,ベーリング海や北極海域での海氷とオホーツク海の海氷との関連の調査継続していく。
  • Josefino C.COMISO
    1996 年 16 巻 2 号 p. 118-132
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    多波長マイクロ波放射計データから得られる基本的な海洋パラメーターに,海氷の密接度と海氷の分類または海氷の表面の分類がある。これらのパラメーターを求める方法を述べる。一つはブートストラップ(Bootstrap)アルゴリズムである。これは海洋における衛星のフットプリントが海氷または海水面,或いはそれらが混在しているものと仮定するアルゴリズムである。形式的には,海氷の輝度温度は一定と仮定するが,海氷の輝度温度は氷盤の多周波空間における分布に従って変動することを許容するというものである。このアルゴリズムは一般に厚い氷に覆われた海氷域で,海氷の放射率が比較的安定した所では,推定精度で2%から10%程度の結果を得られる。しかし,海氷縁やポリニヤのある海洋域,海氷の上に融解した水溜まりのある領域では海氷面の放射率が著しく変化するので精度は悪くなる。
    ニューラル・ネットワークにより教師なしクラスター解析の手法を発展させた結果,一般に付加的な海氷の情報が抽出できた。とくに異なるタイプの海氷や海氷面の分布を求めることができた。この手法はn次元輝度温度の空間で,観測した放射輝度温度の異なったデータ群をクラスター分類することに利用できる。ここでnはチャンネル数を表わす。ニューラル・ネトワークのバックプロパゲーションを用いることによって,大気や表面のある効果を最小にすることができる。
  • 長 幸平, 佐々木 信夫, 下田 陽久, 坂田 俊文, 西尾 文彦
    1996 年 16 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    The Sea of Okhotsk is well known as one of the most southern sea ice zones in the Northern Hemisphere where all the sea ice melt in summer season. It is estimated that if the current trend of the global warming continues in the future, the sea ice of the Sea of Okhotsk may not be able to survive even in winter season by the middle of 21 st Century. In order to monitor the interannual validation of sea ice extent in this area, two sea ice concentration algorithms, namely the Comiso algorithm and the NASA Team algorithm, were applied to DMSP SSM/I data for sea ice concentration calculation. The both algorithms were revised in 1994 to reduce weather effects resulting from atmospheric water vapor, cloud-liquid water and others. The effects increase the sea ice concentration over the open water. As the humidity of the Sea of Okhotsk is rather higher than most of the other sea ice zones especially in summer season, the weather effects appear more strongly in this area than the others. The interannual validation graph derived from SSM/I data used to have a small peak in each summer under the sea-ice free conditions. Those small peaks were much reduced with the new weather filters introduced to both algorithms. However, the "false sea ice area" were still observed over the open water in the sea ice concentration images derived with both algorithms. The images also suggested the importance of reducing land effects mainly caused by antenna side lobe and mixed-pixels of SSM/I data. In order to reduce the land effects, the authors have introduced a 3X3 filter here we call as land filter. This filter is a kind of conditioned minimum filter which reduces the land effect by using the land mask information stored in the NSIDC SSM⁄I data set. When at least one out of 3X3 pixels was "land", then the ice concentration of the center pixel will be replaced with the minimum value within the 3 X 3 pixels. The land filter was applied to the ice concentration calculated result of the both algorithms. Almost all the false sea ice area not only in summer but also in other seasons were rejected with this filter for the Comiso algorithm. This result proves the use of the land filter for land effect reduction and the use of the new weather filter of the Comiso algorithm for weather effect reduction for the Sea of Okhotsk. As the land effects occurs not only in summer but also in other seasons, the land filter is applicable to any seasons. On the other hand, the NASA Team algorithm with the land Filter did not show as much improvement as the Comiso algorithm. This result suggests that the new weather filter introduced to the NASA Team algorithm was not fitting so well to the Sea of Okhotsk.
  • 若林 裕之, 西尾 文彦
    1996 年 16 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    定常運用を行っているJERS-1及びERS-1に搭載されている合成開口レーダ(SAR)の海氷モニタリングへの有効性を確認するために,1993~1995年の3年間に衛星観測データにほぼ同期して,サロマ湖上の氷のトルースデータを取得した。サロマ湖はオホーツク海に接続している塩水湖であり,湖氷は塩分を含み海水が凍った一年氷とほぼ同じと考えられ,氷も安定しているので比較的容易にトルースデータが取得可能である。表面状態がほぼ同じで氷厚が異なる点をデータ取得点として設定し3年間で21点のデータ取得を行った。
    SARデータから求めた後方散乱係数(σ0)と氷の物理量を比較解析することによって以下のことが確認された。
    (1) トルースデータの解析から,サロマ湖上の氷は層構造,塩分プロファイル及び表面粗度等の点から北極圏での薄い一年氷(Thin first year ice)とほぼ同じとみなすことが可能である。
    (2) 同じ地点のJERS-1及びERS-1で観測されたσ0を比較することによって, ERS-1のσ0はJERS-1よりも7dB程度高く,σ0の範囲も約3倍程度大きい。
    (3) JERS-1及びERS-1のσ0と氷厚は負の相関があることが確認された。氷からの散乱は氷表面の散乱が支配的であると仮定するとこの現象は説明可能である。
  • Shusun LI, Lewis SHAPIRO, Lyn MCNUTT, Aengus FEFFERS
    1996 年 16 巻 2 号 p. 153-163
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    ヨーロッパERS-1のSAR画像から作成したインターフェロメトリー画像からは,センチメートルオーダーの表面高度の相対的な変化を検知することができる。高度変化は衛星の2つの回帰軌道から得たSAR画像の画素毎の位相差を示す干渉図に描かれる。位相差は可干渉なSAR画像のペアの視線方向の距離の差と,表面または表面付近での活動的な散乱体の,繰り返し得られた時間間隔における移動によって生じる。
    地球楕円体の曲率の影響を除去した後の位相差は,軌道間の距離がメートルのオーダーかまたは表面が平坦であるならば,表面の変形を反映している。そうでなければ地形補正が必要である。さらに補正を行い,軌道間隔の精度'を±3mから,すくなくとも±0.5mに向上し,さらに軌道方向の高度変動によって生じる誤差を除去する。こうして得られたインターフェログラムは表面変形の幾つかのうち,一つまたはそれ以上の成分を表わしている。
    1992年1月にアラスカの北極海に面したプルドー湾の近くの定着氷のインターフェログラムは色彩に富んだ,混んだ干渉縞のパターン図が得られ,海氷の変形を示している。干渉パターン図における不連続な部分は十数キロメートルにおよび,定着氷が圧縮や傾斜した結果,分離した氷板となったクラックを示している。定着氷が安定している状態の部分や海底についた定着氷を判別できる。.
    77(163)
  • 大島 淳一, 小谷 厚友, 田中 總太郎, 杉村 俊郎, 山之口 勤, 田中 美枝子
    1996 年 16 巻 2 号 p. 164-171
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    この研究は,TOPEX/POSEIDONデータがオホーツク海況をどのように表すか,その概要を確かめることを目的とする。海面高度,有義波高,風速,水蒸気の4パラメータについての変化を調べた。空間的相違を考慮するためオホーツク海を東西南北の4海域に分割し,それぞれについてのデータを抽出した。これらのデータを毎日の午前9時の天気図と参照し,海況の時間的変化と対比した。オホーツク海況の年間変動の傾向把握については,TOPEX/POSEIDOデータは有効との感触を得た。但し,日々の変動については今後研究すべき課題を残している。供給されるTOPEX/POSEIDONデータが空間的にも時間的にも内挿または外挿データであること,及び,時系列的に一対一対応をしているデータの比較が行えないことの困難をどのように克服するかに問題がある。
  • 斉藤 誠一, 岸野 元彰, 清藤 秀理, 田口 哲, 高橋 正征
    1996 年 16 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    Feldman et al.(1989)の作成したグローバルな18 kmメッシュの月平均CZCS(Coastal Zone Color Scanner)データを用いて,オホーツク海における植物プランクトン色素量の季節変動を解析した。その結果,千島海盆海域においては年間を通して低濃度であり,この海域に形成される宗谷暖流起源の貧栄養水の影響が示唆された。カシュバロバ堆周辺海域においては8~9月に高濃度が見られ,夏期に観測されている湧昇によって起こっていると考えられる。オホーツク海では春季ブルーミングが4~5月に発生するが,千島列島南方海域では6月に発生している。オホーツク海の春季ブルーミングが緯度が高い海域にかかわらず約1~2ヶ月千島列島南方より早いことが明らかになった。
  • 中島 正勝, 田中 佐
    1996 年 16 巻 2 号 p. 179-194
    発行日: 1996/05/30
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    宇宙開発事業団では,地球観測における長期のミッションシナリオを検討している。このシナリオでは,グローバルな観測,陸域の詳細な観測,日変化観測,静止軌道からの観測,新規技術実験の各分野に大別し,各々で必要な観測センサの候補案をあげている。
    これらのうち,グローバル観測のADEOS,ADEOS-II,陸域詳細観測のALOS,大気に関する観測のTRMMが現時点で実際に進められている。
    この中で,ADEOS-IIはADEOSの後継となる極軌道衛星であり,環境のグローバルな変化の観測とリモートセンシング技術の向上がその主目的である。
    ADEOS-IIのミッションは水・エネルギー循環,炭素循環に関するデータを取得することであり,NASDAが開発するAMSR,GLIの2つのセンサに加え,ILAS-II(国立環境研),SeaWinds(NASA/JpL),POLDER(CNES)の3センサが各機関から供給される。
    AMSRは水に関する物理量の観測を主とし,6.9GHzから89GHzの周波数領域を8つのチャンネルと各チャンネル2つの偏波(50GHz帯を除く),1600kmの観測幅,5km~50kmの空間分解能で観測する。
    AMSRは2mの開口径を持つアンテナを,地表入射角が55度で一定となるように機械的に回転させ走査を行う。これにより海上風の影響を小さくし,また広い観測幅を実現している。
    GLIは炭素・水循環や海洋基礎生産に関する物理量の観測を主とし,375 nmから12.5μmの波長範囲を36のチャンネル,1,600kmの観測幅,1kmあるいは250mの空間分解能で観測する。
    GLIは両面ミラーを機械的に回転させ,進行方向と垂直な方向に走査を行う。進行方向には検知器を複数並べることにより走査ミラーの回転速度を小さくして各画素の蓄積時間を長くとり,観測精度を向上させている0現在,これらのセンサはエンジニアリングモデルの製作中である。また,アルゴリズム開発のためのRAが発出された。
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