日本リモートセンシング学会誌
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ADEOS-II搭載用地球観測センサ
中島 正勝田中 佐
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1996 年 16 巻 2 号 p. 179-194

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抄録

宇宙開発事業団では,地球観測における長期のミッションシナリオを検討している。このシナリオでは,グローバルな観測,陸域の詳細な観測,日変化観測,静止軌道からの観測,新規技術実験の各分野に大別し,各々で必要な観測センサの候補案をあげている。
これらのうち,グローバル観測のADEOS,ADEOS-II,陸域詳細観測のALOS,大気に関する観測のTRMMが現時点で実際に進められている。
この中で,ADEOS-IIはADEOSの後継となる極軌道衛星であり,環境のグローバルな変化の観測とリモートセンシング技術の向上がその主目的である。
ADEOS-IIのミッションは水・エネルギー循環,炭素循環に関するデータを取得することであり,NASDAが開発するAMSR,GLIの2つのセンサに加え,ILAS-II(国立環境研),SeaWinds(NASA/JpL),POLDER(CNES)の3センサが各機関から供給される。
AMSRは水に関する物理量の観測を主とし,6.9GHzから89GHzの周波数領域を8つのチャンネルと各チャンネル2つの偏波(50GHz帯を除く),1600kmの観測幅,5km~50kmの空間分解能で観測する。
AMSRは2mの開口径を持つアンテナを,地表入射角が55度で一定となるように機械的に回転させ走査を行う。これにより海上風の影響を小さくし,また広い観測幅を実現している。
GLIは炭素・水循環や海洋基礎生産に関する物理量の観測を主とし,375 nmから12.5μmの波長範囲を36のチャンネル,1,600kmの観測幅,1kmあるいは250mの空間分解能で観測する。
GLIは両面ミラーを機械的に回転させ,進行方向と垂直な方向に走査を行う。進行方向には検知器を複数並べることにより走査ミラーの回転速度を小さくして各画素の蓄積時間を長くとり,観測精度を向上させている0現在,これらのセンサはエンジニアリングモデルの製作中である。また,アルゴリズム開発のためのRAが発出された。

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