抄録
Global Imager(GLI)は,2000年に打ち上げ予定の環境観測技術衛星ADEOS-IIに搭載される可視・赤外超多チャンネルセンサーである。本研究では,この超多チャンネルデータによる陸域植生の解析に有効なアルゴリズムと新しい植生指標をパターン展開法に基づいて研究した。まず,GLIによって得られるスペクトルパターンをシミュレートするため,GLIの熱赤外を除く波長帯をカバーする分光放射計を用いて,代表的な土地被覆物約450サンプルを測定した。その分光反射係数から,GLIの19の波長帯の値を抽出しパターン展開したところ,19チャンネルによって得られる情報の約96%は,水,植生,土壌の3つのパターン展開係数に集約されることが明らかになった。次に,衛星データの1画素内に含まれる,水,植生,土壌の土地被覆面積比率は,パターン展開係数と線形関係にあることが,分光放射計を用いた実験により確認された。また,GLIの6つのチャンネルはLANDSAT/TMと波長特性が似ていることより,LANDSAT/TMデータを用いて疑似GLIデータを作成し,GLIとTMデータ間での土地被覆に対する推定面積比率の関係を調べた。その結果,これらのデータ間でほぼ1:1の対応関係が成り立つことが明らかになった。さらに,最近我々が開発した植生指標VIPD(Vegetation Index basedon Pattern Decomposition)は,土壌や,水など植生以外の被覆物に対して0の値を示し,植生の面積比率の増加に伴って線形的に増加する。また,VIPDはNDVIに比べ垂直方向の植生量や,広葉と針葉といった植生の違いに敏感であることが分光放射計を用いた実験によって明らふにされた。
以上より,パターン展開法は,ADEOS-II/GLIの超多チャンネルスペクトルデータを有効に活用する解析アルゴリズムであり,また,パターン展開法に基づいて導出された新しい植生指標(VIPD)は,グローバルな植生状況の詳細な把握に有効であることが示された。