日本リモートセンシング学会誌
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海の色のスペクトル測定装置
岸野 元彰杉原 滋彦岡見 登
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1983 年 3 巻 2 号 p. 13-20

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抄録

遠隔計測した海の色のスペクトルから,海水中の物質量を推定するためには,以前に得られた海の色のスペクトルと海中物質の量との相関関係をそのまま適用して推定する方法と,海面下の光学過程を模式化して計算で求めた海の色を,実測値と対比する事により推定する方法がある。しかし海の色のスペクトルは,受光部と海面間に存在する大気とその中に含まれている物質との影響を受け,海面直上での海の色のスペクトルとは異ったスペクトルに歪められてしまう。更に海面による太陽反射光を含まない様に海の色のスペクトルを測定したとしても,海面による天空の反射光を除いて測定する事は殆んど不可能である。これら二つの効果が,遠隔計測した海の色のスペクトルから,海中物質の定量化を試みる上記二つのいずれの方法にも雑音として作用する。
遠隔探査の研究において,大気や海面反射光の影響を考慮する事は必要であるが,その前に海面反射光や大気の影響を受けない海面直上の海の色と海中物質の量との関係をまず明らかにしておく事が肝要である。この観点から,大気の影響を受けず且つ海面反射光を含まない海面直下の天底輝度と,海面上に入射する照度を同時に測定出来る簡単な装置を試作した。
この装置では,可視域の7波長における天底輝度と,可視域と近赤外域の9波長における入射照度を通常64回走査し,平均値を記録紙上に打ち出す。全所要時間は約15秒である。装置の水上部はブイに固定したジンバルに取り付け,常に天頂―天底方向に向くようにした。上半分が入射照度,下半分が天底輝度を測定する様になっている。この装置の予備実験を1981年3月に,相模湾平塚沖で行った。

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