1977 年 16 巻 6 号 p. 382-387
鉱山の保安は災害の発生を予防し,あるいは万一災害が発生した場合でも,その被害を最小限に抑えることが目的である.鉱山の作業は一般工場と異なり,坑内作業が大部分であり,地上と違った多くの問題点をもっている.ここでは危険発生の原因を人的要素と鉱山の宿命的要素とに分けて検討し,また災害発生原因と最近の技術の進歩について述べ問題点を分析した.さらに今後の保安対策および学校ならびに現場における保安教育および研究のあり方について私見を述べた.鉱山保安は二重三重の点検が必要であるが,一方自分の職場の保安は他人委せにせず,各自それぞれの立場で確認し,自分のちょっとした誤ちで他人を罹災させるような災害を発生させないという信念をもって作業する技術ならびに精神面での教育,訓練が大切であることを述べた.