安全工学
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セフティアセスメント 特集
建築物の防災性能評価方法
勝野 仁
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1984 年 23 巻 6 号 p. 346-353

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抄録

近年,大都市を中心に建築物の高層化・多様化が進み都市構造や都市空間に著しい変化が生じている.数量的に試みとして,東京都内に存する住宅以外の建物数は51万5000棟を超え,このうち消火雛の設置等消防法の規制対象となる建物は22万強に達している、これらの建物に当っては,建物を利用する人々の価値観や生活様式の変化等による機能性や利便性を優先するあまり防災に係わる施設・設備に対しては必ずしも満足される状態でなく,関係者の防災に対する意識も,まだまだ後進的な輿状にあると言える・このような経過の中で,火災時に建物を利用し管住する人々の人命を守る防火・避難施設及び消防用設備等の防災投資については,火災事例をベースとして建物のオーナーや防火管理者,更には当該建物を利用する住民等の関心と相まって,法令の基準炉徐々に整備強化され,建築物の火災に対する潜在危険が次 第に解消されつつある. しかしながら,現存Lている防火対象物にあっては管理する者の多様,かつ,雑多性から火災時の人命安全に関する総合的な解明が残されていることや,最近にいたっても雑居ビルや旅館・ホテル等の特定防火対象物からの火災が後を断たず,多くの人命を失しており,建物の火災時の人命危険や安全性を事前に定量的に予知できる手法が各界から強く望まれていると二ろである. このことから東京消防庁では建築物の火災時の安全性または危険性を定量的に評価することのできる嘱‘特定防火対象物の防災性能の評価方法”について,都知事の諮聞機関である火災予防審議会に昭和54年5月諮間していたところ,去る,昭和58年3月に特定防火対象物の防災性能の評価方法」が答申された。 木稿においては火災予防審議会から答申された当該手法確立のプロセスを主体に紹介することとした い.

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© 1984 特定非営利活動法人 安全工学会
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