製造業の作業環境は物理的・化学的要因が主であるのに対して,病院内の作業環境は生物的要因にも注意しなければならない.多くの病院は空気調和設備を備えているため,空調設備の不備などにより院内全体に微生物,粉じん,ガスなどを拡散する危険性がある.また,微生物の発生源は医療従事者や患者自身などであり,つねに移動していることが特徴である・そこで,病院各部門の微生物,手術用・治療用医療機器の滅菌に伴う温熱条件,化学的滅菌に伴う化学薬品による健康障害,薬じん,放射線,さらに,医療機器からの騒音,医療ガス,感染性廃棄物について作業環境管理の面から述べた.