1990 年 29 巻 4 号 p. 241-250
爆発限界を決定するのは,浮力,熱損失,反応機構などのメカニズムであるといわれる,それぞれのメカニズムが火炎の伝ぱ限界を規定する条件式から,限界火炎温度と圧力の関係式を求めた.それらの式は,まとめて1つの一般式としてつぎのように表すことができる. (P/P0)a =(T/T0)bexp{E/RT-E/RT0}
ここで,Tは限界火炎温度,Pは圧力,Eは総括活性化エネルギー,T0は圧力が瓦のときの限界火炎温度である.Eの値はその物理的意味からも正でなければならない,また,a,bの値はメカニズムによりそれぞれ,およそ一1~3,一2~2の範囲の値をとる.aが正の値であれば限界火炎温度は圧力の増大とともに低下し(フェーズ1),負であれば上昇する(フェーズ2).ごれらの式を,水素,エチレン,メタンなどの爆発限界の圧力依存性データの解析に応用したところ,活性化エネルギー,反応次数などのパラメータ値を適当に選べば実験の傾向をよく再現することがわかった.しかし,得られたパラメータ値は,燃焼速度の圧力依存性から予測された値とは必ずしもよく一 致しないことがわかった.