自然環境保全のための広域の土地利用計画制度が各国で検討されている.イタリアは歴史文化環境保存の点から,いち速く都市・集落とその周辺の自然景観保存に取り組んだ国である.景観を文化財同様に国民共有財産として捉え,保存のための土地利用の法的規制を確立した。特に近年,ヨーロッパ共同体農業政策が環境保全型農業を打ち出したため,農林地の自然環境を保存復元する上で多様な農業形態を利用する手法が付け加えられた.都市と農山村,市街地と農林地両方に渡る土地利用計画が制度として確立し,地域環境管理の有効な手法になっている.この意味から環境管理に物的なイメージを付与する景観計画は地域・都市計画分野の新しい課題として注目されている.