1998 年 37 巻 3 号 p. 164-171
液一液不均一系反応に対し,撹搾停止による相分離状態から急激に撹絆を再開させた際の熱的危険性評価手法の確立を目的として,トルエンおよびベンゼンの硫酸によるスルホン化反応を対象に実験を行った.その結果,液一液不均一系反応が十分に完結する濃度で行われた場合には橿絆再開後の発熱挙動は硫酸濃度に依存せず,撹搾速度や液の物性変化等に起因する撹挫効率の変化に大きく依存することが明らかとなった.また,総括反応速度が撹枠による二相の接触面積に比例すると仮定し,液滴の分散度合いを表すウエーバー数(四θ)を基に撹搾再開後の最大発熱速度の予測式を提案した.種々の反応条件に対して予測式の適用範囲を検討した結果,分散相の容積比が0.1以上の条件において予測値と実測値 は良好な一致を示した.