巨大地震によって企業が受ける被害には計り知れないものがある.しかしながら地震被害を軽減する活動と地震への準備を行うことにより,効率の良い緊急時対応,迅速な復旧および被害額の軽減が可能となる.このような準備の一っとして,防災計画の策定と防災マニュアルの準備がある. 従来型のマニュアルは,単に防災規定や計画を示すにとどまっており,災害発生時の具体的な活動を支援するものとはなっていないものが多い.このため,実効性のあるマニュァルのあり方を提言する.
岩石破壊時に発生する微小破壊(AE)の時系列発生分布がフラクタルであることを示すとともに,AE発生パターンの将来予測を行うためのニューラルネットワークモデルを構築した.このモデルは,最小誤差原理に基づいて階層ごとの最適ユニット数を決定する方式のもので,これによって三軸圧縮応力下で測定された岩石中で発生したAEの特性パラメータ(イベント,カウント,最大振幅)を高い精 度で予測できることを示した.
液一液不均一系反応に対し,撹搾停止による相分離状態から急激に撹絆を再開させた際の熱的危険性評価手法の確立を目的として,トルエンおよびベンゼンの硫酸によるスルホン化反応を対象に実験を行った.その結果,液一液不均一系反応が十分に完結する濃度で行われた場合には橿絆再開後の発熱挙動は硫酸濃度に依存せず,撹搾速度や液の物性変化等に起因する撹挫効率の変化に大きく依存することが明らかとなった.また,総括反応速度が撹枠による二相の接触面積に比例すると仮定し,液滴の分散度合いを表すウエーバー数(四θ)を基に撹搾再開後の最大発熱速度の予測式を提案した.種々の反応条件に対して予測式の適用範囲を検討した結果,分散相の容積比が0.1以上の条件において予測値と実測値 は良好な一致を示した.
転がり軸受の転動面剰離を早期検知し,発生部位を識別しようとすると,従来の尖り度などのパラメータを用いる方法では限界があった.そこで,波形の相違を直接とらえることとし,波形の相違の尺度であるカルバック識別情報量とそれを基にした識別法である最近隣分類ルールを用いる方法を,この問題に適用することにした.本方法の検知能および識別能を,おもに実験的に調べた.実験はベンチスケールのロータとその支持軸受により行い,正常,外輪転動画剥離,内輪転動面剰離の検知・識別を試みた、その結果・従来法では検知できない程度の小さな剥離であっても検知・識別ができた、この方法は,標準データの選定が重要であるので考察を加え,選択基準として距離比を導入し,これり大きなものを選べば合理的なことを示した,
当研究所では産業安全研究所情報検索システムが運用されており,全労働災害に関するデータベースが構築されているが,爆発・火災災害については情報項目が不十分である.化学安全研究部では,過去約40年問にわたり災害事例を要約した資料を作成しており,これを利用して別個に独自の項目を加えたサブデータペースを構築し,データの追加登録と拡充を続けている.本稿では,この爆発・火災データベースに基づき,爆発・火災災害の現状と要因分析を行った結果として,事故件数や死傷者数の推移を示した後,災害規模曲線を年代別,業種別,災害の種類別に示した.また・災害の原因物質と着火 源・原因の頻度を年代別に示した.
昨年の12月に気候変動枠組み条約第3回締約会議(COP3)は難産の末に「京都議定書」を採択して終了した.私はっぎのようなCOP3に関する体験をした.1)会議開催日の会議の傍聴と関連行事への参加,2)「気候フォーラム」の運営員としてのCOP3にむけた一年間の活動,3)宮城県の環境NGOの帯民に対する啓蒙活動の責任者としての一年間の活動である. ここでは,私が上記のような体験を通して感じたことや,京都会議の争点と最終議定書の内容および温暖化防止の今後の課題などについて記した.