2000 年 39 巻 6 号 p. 356-361
近年の欧米の安全衛生は,ローベンス報告に基づいた自主対応型の取り組みが基本である.その具体的な現れが労働安全衛生マネジメントシステム,リスクアセスメントである.これらに対するEU加盟国やアメリカの対応は,規制と自主的な取り組みとの相克の過程にあるといえる. さらに,最近では,安全衛生対策の対象が作業負荷という観点から作業条件や作業方法の見直しへといっそう広がる傾向にあり,その典型例がエルゴノミクス的アプローチである,エルゴノミクスについては,日本ではまだ行政としての対応は端緒についたばかりである. 本稿ではこのような欧米の動きを追いつつ,現在の安全衛生の課題を追求してみた.