2008 年 47 巻 3 号 p. 133-140
本研究では,列車の速度制御を対象として,人間の制御行動モデルをもとにヒューマンエラー防止のための教育・訓練に関する検討を行った.人間の制御行動のモデル化に関しては,人間工学や制御工学の分野で数多くの研究がなされてきたが,これらは人間の制御を数理モデルで表現するのみであることが多く,そこからシステムの安全・安心を向上させるような具体的な教育・訓練方法が提案されることはほとんどない.そこで,本研究では列車の速度制御における実験結果から人間の制御行動モデルを構築し,そのモデルを用いて人間の習熟に寄与する要因の抽出を図った.抽出された要因をもとに訓練方法を提案し,シミュレーション実験によりその効果の評価・検討を行った.さらに提案された訓練方法による訓練を実際に行いシミュレーションによる評価の妥当性を確認した.