構造物を建設する場合,工事を安全にかつ経済的に行うため,一時的に簡易な構造物を設置することが 多い.これらは仮設構造物と呼ばれているが,一時的に使用されるため,組立・解体が容易な構造となっている.その反面,手すりや仮設構造物全体の安定を保つために必要な部材を,容易に取り外すことができるため,これらの部材が不足していたことなどに起因する墜落・倒壊災害などが多発している.平成 16 年に発生した労働災害による死亡者数を見ても,墜落災害によるものが最も多く,倒壊災害によるものも比較的多く発生していた.また,起因物別に見ても,仮設構造物等に起因するものが最も多く発生していた.そこで,仮設構造物の代表例である足場と,コンクリート工事で使用する型わく支保工の安全対策について,災害事例や研究事例などを交えながら解説する.