廃棄物処理業は,一般産業と比較して労働災害事故の発生率が高く,廃棄物処理工程全体を通じての安全化が強く望まれており,危険性の的確な把握が重要な課題である.事故を低減するためには,事故の原因究明や,事故対策による安全化とともに,事故から学んだ知見や教訓を類似事故の防止に役立てることが重要となる.そこで本調査では,廃棄物処理施設の事故調査結果から,物質と装置の両面から事例解析を行い,事故要因や起因事象などを明らかにした.火災事故のおもな事故原因は,貯留設備内での引火性物質混入や,ごみ保管中の蓄熱発火,および可燃性ガス発生であった.爆発事故のほとんどが,破砕機で発生しており,ガスボンベの混入がおもな事故原因であった.中毒事故は,持ち込まれた有害物によるものだけでなく,化学薬剤処理中の事故も多く発生していたことがわかった.