安全工学
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東日本大震災特集
放射線の健康影響と防護の体系
佐々木 康人
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2011 年 50 巻 6 号 p. 374-380

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抄録

1895年X 線の発見によって電離放射線を認知した人類は以降放射線と放射性同位元素を医療を始め様々な社会生活の向上に活用してきた.一方,放射線の人体障害作用も早くから知られていた.1928 年国際放射線医学会の委員会として活動を開始した国際放射線防護委員会は放射線防護の原理と原則を勧告してきた.科学的知見の進歩,防護技術の発展,社会の動向を反映して,放射線防護規準も変遷した.最新のICRP2007 年勧告に基づく放射線健康影響の考え方と最新の防護体系を解説する.平常時(計画被ばく状況),非常時(緊急時被ばく状況),非常時からの復興期(現存被ばく状況)に分けて勧告されている防護体系は福島原発事故への対応に活用されている.今日では,国連科学委員会の報告を科学的根拠としてICRP が防護勧告を,国際原子力機関がより具体的な防護規準を作成する国際的枠組が確立している.

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