福島第一原発事故に関わる原子核物理について量子論の知識を前提としない立場から概説する.採り上げる話題は,原子力で利用されている核分裂反応,および事故の直接的物理的過程である原子核の崩壊と放射線である.核分裂反応に関しては,原子核反応のエネルギースケール,原子核の構造,自発核分裂と中性子誘起核分裂の機構,連鎖反応と臨界現象について,原子核の形状と内部エネルギーの関係を軸に議論を展開する.原子核の崩壊と放射線に関しては,安定同位体と不安定同位体,不安定核種の崩壊様式,安定核の核図表上の分布,核分裂片が不安定核種となる機構,放射線の一般的性質について,陽子数と中性子数の数と内部エネルギーの観点から議論する.