2015 年 54 巻 5 号 p. 340-345
東日本大震災以降,自然災害のような突発的でかつ大きな被害をもたらす事象に適用できるリスク評価・管理手法が求められている.産業技術総合研究所安全科学研究部門と活断層・火山研究部門は,将来起こり得る大規模な地震や津波などの直接的な一次災害,およびそれに付随するプラント事故や生産・物流への壊滅的ダメージなどの間接的な二次被害の未然防止および最小化を目的として地震災害総合リスク評価ツールを構築してきた.本総説では左記評価ツールを構成する一次災害サブシステム,二次被害サブシステム(化学物質漏洩,サプライチェーンの寸断,民生建物・人口被害),リスク評価の各サブシステムの具体的機能を説明し,期待されるツールの活用方法等について述べる.