東日本大震災や阪神・淡路大震災など,我が国は繰り返し大規模な自然災害に見舞われてきた.今後発生が懸念されている南海トラフや相模トラフにおける巨大地震対策を進めることや,台風や豪雨等による気象災害に適切に対応していくことは,我が国にとって喫緊の課題である.災害対策の基本は,事前に起こりうる被害を想定し対策を講ずることである.一方,災害が発生した場合に,迅速に被害状況を把握し適切な初動体制の確立や災害対応につなげていくことも極めて重要である.最新のICT を駆使し,広域にわたる災害が発生した場合でも被害全体をリアルタイムに推定,状況を把握することで概観でき,かつ詳細な推定により町丁目単位,個別建物レベルでも利用可能なリアルタイム被害推定・状況把握システムの研究開発が進んでいる.こうしたシステム開発の現状について報告する.