近年の日本の化学産業におけるリスク管理に関し,欧米の状況と比較検討して基盤的問題点を論議した.その結果,①リスクベースの事故統計評価の実施,②リスク管理へ本質安全技術とリスク・コミュニケーションの導入推進,③化学工場の自衛消防隊による自らの事業所における火災・爆発への第一義的対応,④リスク管理の基盤になる事故調査における人と管理の精査および詳細な報告書の透明性と公開性の確保,⑤重大事故の第三者機関による調査,⑥GHS(化学物品の分類および標記に関する世界調和システム)に沿った分類および格付けの実施,⑦性能規定による自主保安の推進,⑧行政による安全文化醸成の土壌整備,の8 事柄の実現を規制行政へ求める.