安全工学
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安全文化 特集
化学プラントと安全文化
中村 昌允
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2021 年 60 巻 6 号 p. 462-468

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抄録

化学プラントは,爆発火災事故のように“Process Safety”が安全文化における重要課題で,経営トップは,基本理念や安全哲学を企業内に浸透させ,経営資源を重点的に安全に投入する役割と責任がある. 安全は基本的にはシステムによって確保するが,システムは人間がつくるので,システム設計段階で判らなかったことや稼働させて初めて判るリスクもある.これらのリスクは人間の判断と行動に委ねざるを得ない.システムは一定以上のレベルを有している人間が動かすことを前提にしているので,運転員の教育訓練と高いモラルは絶対に必要である.それでも判断に迷う事態が出てくる. その時に判断・行動の指針となるものが,その企業の基本理念や安全哲学,すなわち安全文化である.これからの安全マネジメントは,ボトムアップ型とトップ主導型との融合,経営者層,管理者層,運転者層の役割と責任の明確化,研究開発と生産との融合が求められる.

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© 2021 特定非営利活動法人 安全工学会
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