安全工学
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総説
日本の安全文化は国際慣行とどこが違ったか
杉本 泰治森山 哲福田 隆文
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2022 年 61 巻 3 号 p. 177-185

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抄録

福島原子力事故まで,日本の安全文化は国際的慣行と一致せず,不足があったといわれる.1986 年からの一時期,スペースシャトルのチャレンジャー,原子力のチェルノービリ,再びスペースシャトルのコロンビアの三つの事故は,西洋社会を震撼させ,その衝撃が,安全文化へ向かわせた.日本の場合,三つの事故とそこから導かれた安全文化への無関心が,福島原子力事故までの約25 年間,安全確保の大切な部分を空白にしてきた.安全文化を理解するには,五つの関門があり,それを一つずつたどると,日本の課題が見えてくる.特に,規制行政に正当な関心を持つこと,専門技術を担う技術者とマネジメントを担う経営者との相反の解決,および,個人が自分で考え,行動し,その結果に自分で責任をとる「個の確立」,という課題がある.

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© 2022 特定非営利活動法人 安全工学会
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