事故・災害・予徴等(不安全事象という)の記録・解析に関して,数多な研究が成されてきた.並々ならぬ努力が払われてきたが,不安全事象は続き,撲滅に向け,網羅性,正確性,論理性,などの観点から,更なる努力や工夫が払われている.化学プロセス産業は,人為的な行為から,爆発・火災・環境汚染・暴露などの安全性を踏まえて,近年では情報・電子工学的な要素が加味された新規な生産プロセスの運営に広がろうとするが,不安全事象に係る記録・解析においても新規な方策が求められている. 本研究では,不安全事象の記録の網羅性,論理性に工夫を加え,スイスチーズモデルの穴の撲滅とバリアーの根本的強化に向け,「積極的関与」の立場に立ち,マトリックス法に注目し,改良された,不安全事象の記録・解析方法の一つを提案した.また,マクロな視点に立った,組織の不安全事象の未然防止の取り組みによるバリアーの強化の一例を提示した.