労働安全衛生においては,高所からの墜落・転落や転倒による事故の防止は重要な課題となっている.これらの事故は,人の姿勢のバランスが崩れることが関係しているため,事故の防止には人の運動特性に対する理解が必要となる.また,作業環境において,人の運動機能を低下させ,バランスの崩れを引き起こす要因は多数存在しているため,これらの要因の影響を理解し,コントロールすることも必要となる.本稿では,静的なバランス制御問題として墜落・転落事象に,動的なバランス制御問題として転倒事象に着目し,運動特性と,人間工学的観点から災害防止策について言及する.