理学療法さが
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症例報告
重度運動麻痺を呈した心原性脳塞栓症患者への介入
―備品の長下肢装具の使用と前方からの介助歩行の工夫―
田中 勝人篠塚 晃宏巨瀬 拓也高橋 雅幸釜﨑 大志郎大田尾 浩
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キーワード: 長下肢装具, 急性期, 脳卒中
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 10 巻 1 号 p. 107-112

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抄録

要旨:〔目的〕重度な運動麻痺と備品の長下肢装具の不適合により,従来の後方介助ではなく,前方からの介助で歩行練習を行った。その結果,歩行の介助量軽減,歩容が改善した症例を経験したので報告する。〔対象〕74歳の男性で,心原性脳塞栓症により,重度な右片麻痺と失語症をきたし,歩行に全介助が必要となった症例である。〔方法〕備品の長下肢装具を使用した後方介助の歩行では,後方重心で体幹が後傾し,膝関節が屈曲位となり,さらに装具内で膝折れが見られた。また,介助者が3人必要であった。このため,体幹の中間位保持と骨盤の前傾,股関節の伸展を促すために,後方介助ではなく前方介助で歩行練習を実施した。〔結果〕前方介助に変更したことで,麻痺側下肢の支持性が向上し,歩行練習時の介助量が軽減され,歩行距離が延長し,歩容が改善した。〔結論〕装具の特徴と対象者の身体特性を考慮し,介助方法を検討する必要がある。特に前方介助が重度運動麻痺患者において有益であることが示唆された。

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