2024 年 10 巻 1 号 p. 99-105
要旨:〔目的〕学生が臨床実習に抱える不安因子とその不安を軽減させる要因を検討した。〔対象〕A 大学理学療法学専攻3年生33名である。〔方法〕事前に自由記述形式のアンケートを実施し,その結果をもとに20項目の不安因子を抽出した。OSCE 前,評価実習前,総合臨床実習前の各フェーズで3 回のアンケート調査を行い,回答の分類からクロス集計表を作成した。また,顧客満足度(CS)ポートフォリオ分析を通じて,不安に関連する要因とその変化を詳細に検証した。〔結果〕臨床実習の不安因子は「レポート作成」,「検査・測定の実施」,「質問を受ける」,「勤務内行動」,「リスク管理」,「睡眠時間」,「知識」であった。しかし,各調査時期で不安因子に変化は認められなかった。〔結語〕学生が臨床実習前に抱く不安因子が明らかとなった。また,OSCE や評価実習を経験しても,総合臨床実習に対する不安に変化はないことが明らかとなった。