2017 年 3 巻 1 号 p. 43-49
要旨:[目的]高齢者の足指機能が過去一年間の転倒経験と関係するかを調査した。[対象]対象は地域在住の女性高齢者25名(平均年齢71± 5 歳)とした。[方法]足指機能は,足指押力,足指押力が最大値に到達するまでの所要時間(最大値到達時間),筋力発揮時の継時的波形を測定した。また,過去一年のあいだに経験した転倒経験ならびに転倒しそうになったニアミス経験について調査した。[結果]転倒・ニアミスあり群の足指押力は,なし群よりも有意に低かった。また,転倒・ニアミスあり群の最大値到達時間は,なし群よりも有意に遅延していた。さらに,転倒・ニアミスあり群の波形は,筋力発揮時や脱力時にも上下に乱れて安定しなかったのに対し,なし群の波形は滑らかに筋力を発揮し,また脱力できていた。[結語]足指機能は,地域在住の女性高齢者の転倒と関わりがある可能性が示された。