2017 年 3 巻 1 号 p. 37-42
要旨:[目的]地域在住高齢者の反応時間を測定し,その反応時間と転倒との関係を調査した。[対象]女性高齢者25名(平均年齢71.4±5.2歳)とした。[方法]測定項目は,反応時間および年齢,過去一年間の転倒歴,外出頻度,握力,上体起こし,大腿四頭筋筋力,長座体前屈,片足立ち,5 m歩行時間,Timed up and go test,30秒間椅子立ち上がりテストとした。各測定値を転倒の有無別に Mann-Whitney 検定にて比較した。また,反応時間と各測定値との関連を Pearson の相関係数で検討した。[結果]転倒あり群の反応時間(1022.40±17.11 msec)は転倒なし群の反応時間(772.67±161.51 msec)よりも有意に遅延していた。また反応時間は,年齢(r=0.520),握力(r=-0.541),5 m歩行時間(r=0.501)と有意な相関が認められた。[結語]地域在住高齢者においても転倒経験がある者は反応時間が遅延していた。転倒予防は,筋力やバランス能力のみならず反応時間も考慮する必要がある。