2017 年 11 巻 1 号 p. 71-79
高齢期就業には、前期高齢者を中心とする企業等での雇用労働だけでなく、後期高齢者まで含む地域密着の生きがい就業があるが、その実態を捉えた研究は限られている。本研究では、幅広い年代が働くシルバー人材センターの就業データを用いて、年齢階層別の就業実態を明らかにすることを目的とした。対象は、埼玉県下の7つのシルバー人材センターに在籍する会員3,532人であり(無就業者を除く)、1年間の仕事の内容・配分金額を調査した。分析は、配分金額を従属変数、性別・年齢階層を独立変数とする分散分析・多重比較検定を行った。その結果、男女ともに配分金額は70-74歳と80歳以上の階層間にのみに有意差が認められた。また、従事した仕事の内容は80歳以上を含め年齢階層間に差異は認められなかった。ゆえに、生きがい就業の場においては、75-79歳の高齢者は前期高齢者と同等に就業しており、軽易な仕事を担う支え手として期待できる存在であることが示された。