2021 年 15 巻 1 号 p. 58-67
本研究の目的は,高齢者の主観的な学習ニーズ(「必要性の認識」と「興味」の2種類)と学習経験を評価する3種類の指標を作成することにある.指標は3種類のいずれも共通項目で構成されるものとした.分析対象は60歳以上の166名であった.指標は次の手順で作成した.まず,先行研究と内容的妥当性の評価に基づき,3指標それぞれ「一般的学問と高齢期に関する専門知識」「高齢期における日常生活の課題」「人生の振り返り」の3領域,計29項目で構成される指標を作成した.この構成概念妥当性を確認的因子分析で検証した結果,支持されなかった.そのため,探索的因子分析により構成概念を再検討し,「一般的学問」「情報技術」「高齢期における日常生活の課題」「人生の振り返り」という4つの構成概念が抽出され,最終的に19項目が残された.この指標は確認的因子分析で構成概念妥当性が検証されるとともに,信頼性評価の結果も良好であった.