応用老年学
Online ISSN : 2759-4556
Print ISSN : 1882-6245
ISSN-L : 1882-6245
15 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
巻頭論文
原著論文
  • ―トランスセオレティカル・モデル構成要素を用いたモデルの検証―
    中山 健
    2021 年 15 巻 1 号 p. 12-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高齢者における運動実施頻度,自己効力感および他者からの促進的および阻害的な働きかけに関する分析モデルの妥当性について検討することであった.

     分析モデルは,独立変数として個人的属性要因および他者からの働きかけ,媒介変数として運動実施に対する自己効力感,従属変数として1か月間での運動実施頻度で構成された.

     2016年に,大阪府内の市で等間隔抽出された65歳から80歳までの男女900名に質問票調査を実施した.有効回収数(率)は331部(36.7%)であった.

     分析では,対象者の特性と測定項目への回答傾向を確認後,パス解析を行った.

     分析の結果,従属変数に対する自己効力感の有意な影響および他者からの働きかけの有意な影響が明らかとなった.影響の経路には性差があった.結論として,分析モデルの妥当性が確認された.

     今後の課題として,運動実施に対する社会の文脈効果を明らかにする必要性が示唆された.

  • 王 偉秋, 杉原 陽子
    2021 年 15 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

    高齢者介護施設で働く介護職員の仕事満足度や就業継続意向の向上につながる職場環境要因を解明するとともに,それらが職員の勤続年数や保有資格,雇用形態によって異なるか否かを検討した. 財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査2017」の労働者調査票の個票データから,高齢者介護施設に勤務する介護職員2,948名を分析対象とした.職場での対応を課題レベル,対人レベル,組織レベルに分類した結果,いずれのレベルの対応も仕事満足度や就業継続意向に有意な関連性を示した.一方,勤続年数や介護福祉士資格の有無によって,仕事満足度や就業継続意向に関連する対応にいくつか違いが見られた.勤続年数が短い職員で「上司や先輩から指導や助言を受ける機会」「介護能力を適切に評価する仕組み」「能力や資格取得に応じた賃上げ」が就業継続意向により強く関連したことから,これらが早期離職の防止に資する可能性が示唆された.

  • 井口 大平, 柴 喜崇, 大沼 剛
    2021 年 15 巻 1 号 p. 38-47
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

    目的:訪問リハビリテーション利用者を在宅介護している主介護者の1年後の介護負担感変化を予測する要因について検討すること.

    方法:対象は神奈川県内と東京都内の2事業所から訪問リハビリテーションを利用している要介護者とその主介護者で,平成25年に初回調査を実施した54組のうち,1年後の平成26年にサービスを継続利用し追跡調査が可能であった37組とした.介護負担感の1年間の変化(維持・改善群:0,増加群:1)を従属変数,要介護者の主観的健康感を独立変数,主介護者の年齢,性別,介護期間を調整変数としてステップワイズ法によるロジスティック回帰分析を行った.

    結果:主介護者の1年後の介護負担感を予測する要因は,要介護者の主観的健康感(オッズ比=6.209,95%信頼区間=1.099~35.074,p=0.039)で,決定係数は0.338であった.

    結論:訪問リハビリテーションを利用している要介護者の主観的健康感が低いと,1年後に介護負担感が増加する可能性が示唆された.

  • 田辺 毅彦, 長田 久雄
    2021 年 15 巻 1 号 p. 48-57
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

    特別養護老人ホームにおいて,ユニットケアの定着と職員のストレスとの間にどのような関連があるのか検証し,ユニットケア研修によって介護職員のストレスが軽減できるのか確認することを目的とした.そのために,「ユニットリーダー研修」において,ユニットケア研修施設として認定された施設(4)と,通常のユニットケア実施施設(3)を対象に,各々の介護職員のストレス状態をバーンアウト得点の比較から分析した.調査は,北海道内の特別養護老人ホームで勤務する職員217名を対象に,2017-2018年に行われた. 調査項目は,ユニットケアの実施状況,バーンアウトの程度,介護業務におけるストレス状況への対処などであった. その結果,群別のバーンアウト得点比較において,脱人格得点が,「ユニット研修指定群」よりも「ユニット通常実施群」の方が有意に高く,研修によるユニットケア技術の確認が介護職員のバーンアウトを低減する可能性が示された.また,研修指定の有無にかかわらず,個人的達成感のみ,「危険」領域に入っており,研修を実施しても,個人的達成感を高めることは困難であることも示唆された.

資料論文
論考
feedback
Top