2022 年 16 巻 1 号 p. 108-118
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)入居者の生活満足度と義歯使用および嚥下機能との関連を検討した.Aサ高住の入居者68名に留置き調査を実施し,回答者の内44名に後日3回唾液嚥下積算時間を測定した.各項目と生活満足度尺度K(LSIK)の関連の2変量分析の後,LSIKを目的変数とした一般線形モデルによる検討を行った.多変量解析の結果,LSIKには,義歯使用(B=-0.96),3回唾液嚥下積算時間(B=-0.11),COVID-19の生活影響(B=-1.73),同居者以外に心配事や悩み事を聞いてくれる人の存在(B=1.48),週1回以上の外出(B=1.95),および,年齢が高いこと(B=0.08)が有意に関連していた.嚥下機能が高いことは生活満足度を高め,義歯の使用は生活満足度を低めることが示唆されたが,義歯は咀嚼・嚥下機能の維持には欠かせないため,適切な義歯の作成やさらなる改良が期待される.