2009 年 3 巻 1 号 p. 4-8
20世紀に入って欧米諸国の平均寿命は軒並み50歳を突破したが日本人の平均寿命は30歳代の後半に低迷していた。動物性たん白質と脂肪不足が短命の原因であった。第二次世界大戦後、日本人の平均寿命は50歳を超え、その後30年の間に世界のトップランクの長寿国となった。動物性たん白質と脂肪の摂取増が、結核死や脳血管死を減少させたことによる。しかも、1980年代には脂肪の摂取量も頭打ちとなり、欧米諸国の虚血性心疾患の増加という轍を踏まずに済んだ。
しかし、1980年代以後の日本人の栄養状態は低下してきている。エネルギー摂取は1946年のレベルを割り込み、たん白質、脂肪の摂取も低下している。年代別にみると中高年の栄養状態は横這いを続けており、若い世代 (とくに女性) と乳幼児・学童の低栄養が著しい。