抄録
Abraham Steck によって書かれたDe Saguというタイトルの論文は,1757年,スイスのベルン大学医学部 の学位論文として完成されたものである.これは,サゴヤシに関して知られている科学的な書物 として初めてのものであるだけでなく,ヤシ科の植物に関して書かれた学術的な論文としては,初めて 出版されたものである.ラテン語で書かれたこの44ページの論文は,ヨーロッパとアメリカの非常に 少数の図書館でしか所蔵されておらず,きわめて珍しいものである.著者のSteckは,ヤシ科の分類法に関する議論を,サゴヤシ(Metroxylon) 属(当時はこのように理解されていた)との関連で行っている.De Saguはまた,18世紀初頭のヨーロッパにおける,生産物としてのサゴ澱粉について興味深い 歴史的情報を提供している.本報告は,De Saguで書かれている中の主要な部分について,澱粉の抽出と 利用方法について強調しながら,その意訳を提供するものである.