Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
11 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究・調査報告
  • 近江 正陽, 猪股 仁美, 佐々木 靖, 冨永 洋司, 福田 清春
    2003 年11 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2003年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     サゴヤシ デンプン抽出残渣の熱可塑化と反応の低エネルギー化を目的とし,サゴヤシデンプン抽出残渣の常温でのラウロイル化を試みた.また,ラウロイル化サゴ残渣からプラスチックシートを調製し, その性質を調べた.本実験で用いた反応系において,常温でのラウロイル化反応は可能であり, プラスチック化に十分なエステル化度が得られた.プラスチックシートはラウロイル化サゴ残渣から容易に 製造でき,各種溶媒に可溶であり,特にアルカリ(1N水酸化ナトリウム水溶液)への溶解性は著しく高かった.土壌環境中で分解を試みた結果,試験開始から20日間で著しく質量減少した.カワラタケ およびオオウズラタケによる分解性試験でも質量減少が生じ,生分解性であることが示された. リパーゼ,α-アミラーゼおよびセルラーゼによる酵素的分解を試み,その溶液の化学的酸素要求量(COD)で分解性を評価した.その結果すべての酵素でCODは増加し,ラウロイル化サゴ残渣はエステル結合の分解とセルロース,デンプンの主鎖の分解が起こりうることが明らかになった.上記の結果から エステル化反応のエネルギーの低減化とサゴ残渣からの生分解性プラスチックの製造が可能 であることが明らかとなった.
  • 江原 宏, 小阪 幸子, 志村 典子, 的山 大介, 森田 脩, 内藤 整, 溝田 智俊, Susanto Slamet, Bintoro ...
    2003 年11 巻1 号 p. 8-13
    発行日: 2003年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     マレー諸島に 生育するサゴヤシ(Metroxylon sagu Rottb.)の地理的分布と遺伝的距離の関係を検討するため,RAPD分析を行った.実験は,無刺16個体群,有刺22個体群を含む合計38個体群を供試材料とし,RAPD-PCRには9種類の10塩基プライマー用いた.全プライマーで合計77のPCR増幅産物が 得られ,その内72が多型であった.平均距離法によるクラスター解析を行ったところ,供試個体群は2グループに分かれた.グループBはマレー諸島東部地域から採取した個体群により構成された.一方,グループAはインドネシアのスラヴェシ島とフィリピンのミンダナオ島で採取した個体群から成るサブグループと,主にマレー諸島西部地域から採取した個体群からなるサブグループで構成された. 本結果より,マレー諸島に生育するサゴヤシ個体群間の遺伝的距離は地理的分布と関連していることが窺われた.また,葉柄・葉軸上のトゲの有無と遺伝的距離には明確な関係が見られなかった.
短報
情報
  • 一スリランカとインドネシアの事例一
    荻田 信二郎, 山口 夕
    2003 年11 巻1 号 p. 21-25
    発行日: 2003年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
  • Dennis V. Johnson, Basil S. Davis
    2003 年11 巻1 号 p. 26-33
    発行日: 2003年
    公開日: 2023/07/06
    ジャーナル フリー
     Abraham Steck によって書かれたDe Saguというタイトルの論文は,1757年,スイスのベルン大学医学部 の学位論文として完成されたものである.これは,サゴヤシに関して知られている科学的な書物 として初めてのものであるだけでなく,ヤシ科の植物に関して書かれた学術的な論文としては,初めて 出版されたものである.ラテン語で書かれたこの44ページの論文は,ヨーロッパとアメリカの非常に 少数の図書館でしか所蔵されておらず,きわめて珍しいものである.著者のSteckは,ヤシ科の分類法に関する議論を,サゴヤシ(Metroxylon) 属(当時はこのように理解されていた)との関連で行っている.De Saguはまた,18世紀初頭のヨーロッパにおける,生産物としてのサゴ澱粉について興味深い 歴史的情報を提供している.本報告は,De Saguで書かれている中の主要な部分について,澱粉の抽出と 利用方法について強調しながら,その意訳を提供するものである.
第12回講演会報告要旨
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