Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
フィリピン・レイテ島・ドラグ地区におけるサゴ澱粉生産に関する収入解析
Celiz Lani Llego岡崎 正規豊田 剛己吉川 正人近江 正陽佐々木 靖Quevedo Marcelo A.Mariscal Algerico M.
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2004 年 12 巻 1 号 p. 14-20

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抄録
 サゴヤシから抽出できる澱粉量は生育ステージに依存している.本研究は,フィリピン・レイテ島・ドラグ地区において異なる生育ステージにある3本のサゴヤシ,すなわち,開花ステージ(sago palm A),4~5年の幹生育ステージ(sago palm B)および3~4年の幹生育ステージ(sago palm C)にあるサゴヤシを伐採し,レイテ島の伝統的な抽出法を用いてサゴヤシ幹から澱粉を抽出して,その澱粉収入可能性分析を行ったものである.研究に用いたサゴヤシの中では,開花ステージにあるサゴヤシが最大の澱粉集積を示し,1本当たり60kg程度を集積していた.一方,4~5年の幹生育ステージにあるサゴヤシは1本当たり約22kgの澱粉を集積していたが,3~4年の幹生育ステージにあるサゴヤシは全く澱粉を集積していなかった.サゴヤシの髄はサゴヤシログの60%を占めたが,髄中には多量の抽出残渣となる部分が存在した.開花ステージにあるサゴヤシの収穫・澱粉抽出に必要な労働は5日・人で,多くの場合,家族労働である.フィリピン・レイテ島・ドラグ地区における開花ステージにあるサゴヤシの収穫に必要な費用は,13.89米ドルで,ドラグ地区市場における風乾澱粉の小売価格はミンダナオに比較して安く,150gで0.093米ドルであった.市場で風乾澱粉がすべて販売できたとすると,サゴヤシ1本当たり33.76米ドルが粗収入で,正味の収入は19.86米ドルとなる.一方,試験的に3~4年および4~5年の幹生育ステージにあるサゴヤシからも澱粉を抽出したが,収入に結ぴつけるほど澱粉を集積していないことが明らかになった.
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© 2004 サゴヤシ学会
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