抄録
サゴヤシの耐塩性を研究する目的で,土耕中のサゴヤシポットを0, 10, 50, 100, 200, 400 mMの塩化ナトリウム(NaCl)水溶液の入ったプラスチックポット中に浸漬し,温室内で長期間栽培して塩ストレスを与えた.1ヶ月ごとにサゴヤシの生長を測定し,また1年後に葉の水ポテンシャルと土壌のpH, EC, CEC, 水溶性Cl−, 交換性Na+,K+およびサゴヤシ小葉・根中のプロリン(Pro), グリシンベタイン(GB), 水溶性Cl−, 全Na+,K+を測定した.サゴヤシの生長因子および水ポテンシャルの測定結果から,10 mMのNaCl水溶液中で栽培したサゴヤシの生育が最も良好であった.NaClストレスに対してProの蓄積は全くみられず,GBは小葉で少量検出された.一方,サゴヤシは培地のNaCl濃度が増加するにつれて小葉にCl−,根にNa+を蓄積したが,Na+の小葉への移行は認められなかった.このとき,サゴヤシはK+を培地から多量に吸収し,小葉に移行・蓄積させた.これらの結果から,サゴヤシは高NaClストレス下において,Na+を根から小葉へ移行させない機構を持ち,K+を小葉に蓄積し,K+を適合溶質の一つとして利用している可能性があると結論した.