Sago Palm
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Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
インドネシア,パプア州ジャヤプラ近郊のサゴヤシ園で採集した野生型サゴヤシ(Metroxylon sagu Rottb.)“Manno”の種子及び発芽特性
Rembon Fransiscus SuramasPasolon Yulius Barra山本 由徳
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2008 年 16 巻 2 号 p. 79-84

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抄録
 インドネシア,パプア州ジャヤプラ近郊のスンタニ湖畔のサゴヤシ園に生育するサゴヤシ野生型(folk variety),小型Manno(MK)と大型Manno(MB)について,2005年(Exp. 1)にはヤバソ村でMK,2006年(Exp.2) にはそれぞれヤバソ村とケヒラン村でMBとMKの落下成熟果実を外観をみながら採集した.採集したMKとMBの果実重は,それぞれ7.4-44.6g,31.8-46.2gを示し,平均果実重は28.2gと37.6gであった.MKとMBの種子重〔果実重から外皮(外果皮と内果皮)と肉質種皮を除いた重さ〕は,それぞれ5.8-31.9g,21.7-32.9gを示し,平均種子重は20.4g,28.0gであった.両Manno種の果実重は,報告されている栽培型サゴヤシの果実重に比べて軽かった.MKとMBの種子発芽率は,それぞれ70.1%,77.3%で,MKに比べてMBでやや高かった.これらのManno種の発芽率は,報告されている栽培型サゴヤシ種(40-60%)に比べて高かった.MKの発芽は,播種後6-69日にかけてみられ,発芽最盛期は,同20-34日目にみられ,この期間に約68%の発芽がみられた.これらの結果は,野生型サゴヤシ種Mannoの発芽は,栽培型のサゴヤシ種に比べて早く,また発芽最盛期の発芽割合が高いことを示した.本研究では,落下種子を採集して供試したために,落下後の経過日数や落下した地上部の環境条件が果実重,種子重や種子の発芽歩合,発芽過程に影響を及ぼしたことが推定され,今後,さらに詳細な検討が必要である.
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© 2008 サゴヤシ学会
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