Sago Palm
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研究・調査報告
サゴ澱粉ゲルの調理学的研究(第3報)分離大豆タンパク質,大豆油を用いた澱粉ゲルの材料配合比による影響
平尾 和子五十嵐 喜治高橋 節子
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1998 年 6 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
 英国風ブラマンジェはとうもろこし澱粉に牛乳,砂糖を加えて加熱糊化させる代表的な澱粉ゲルの一つである.前報により,ブラマンジェを調製する際に牛乳の代わりに分離大豆タンパク質や粉末豆乳を用いてブラマンジェを調製したところ,澱粉の種類だけではなくタンパク質や油脂の含量によっても性状および物性値が異なる結果が得られた.そこで本実験では,Schefféの単純格子計画法に従って澱粉・分離大豆タンパク質・大豆油の3成分の水準として10格子点の材料配合比を求め,アミログラフ,レオロメーターを用いて客観測定を行った.測定結果から粘度上昇開始温度,最高粘度,最終粘度,硬さおよび付着性の各特性値を求め,保型性と共に材料配合比との関係を検討した.その結果,各特性値と材料配合比の水準の関係は2次の推定式で表された.この2次推定式は実測値と推定値を検定することにより適合性が認められ,各特性値の推定曲線が得られた.とうもろこし,およびサゴ澱粉を用いたゲルは澱粉の水準が高いものほど最高粘度,硬さ,保型性の特性値は高く示され,逆に大豆油の水準が高い場合は糊化開始温度が高く,最高粘度,最終粘度,硬さ,付着性,保型性は低く示された.また分離大豆タンパク質の水準は,いずれの澱粉の特性値にもあまり大きな影響を与えないと考えられた.推定曲線を用いることにより,任意の配合比の特性値を推定することができるだけではなく,同じ特性値を持つ異なった種類の澱粉ゲルを調製することが可能と考えられた.すなわち,ブラマンジェに従来使用されているとうもろこし澱粉の代わりにサゴ澱粉を利用して,同じ物性値を持つブラマンジェを調製することができ,サゴ澱粉の利用がさらに拡大されると考えられた.
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© 1998 サゴヤシ学会
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