済生会総合研究所報
Online ISSN : 2759-6966
済生会が独自に「SWS:臨床研修指導医の ためのワークショップ」を開催する意義
船﨑 俊一
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2025 年 2025 巻 5 号 p. 41-56

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抄録
全国済生会指導医のためのワークショップ(以下「SWS」)は医師が国家資格としての指導医資格を得るための講習会として平成18(2006)年から開催されている。その一方、済生会ではSWSを単に人材育成講習会としてではなく、人材開発を隠れたカリキュラムhidden curriculumとし「済生会における医師の人材開発」に関わる研修会として重要視してきた。今日、「教育の済生会」の基盤をなす「済生会における医師の人材開発」のための研修会として発展し、益々その重要性が高まっている。SWSを受講することで期待される指導医の姿は「研修医clinical internsの行動に変化をもたらし、自らも成長する指導医としての態度を身につける」ことである。しかし、主催してきた側には、果たしてSWSはその成果をあげているのか、という内なる問いかけがあった。今回、済生会保健・医療・福祉総合研究所と済生会本部のスタッフの協力を得て、過去行われてきた51回のSWSの成果をSWS以外の指導医講習会受講者を含め自己の行動変容の有無についてアンケートを実施することで検証した。

結果:どの指導医講習会を受けても、修了すれば厚労省から指導医講習会修了の資格が付与されるため、SWS と他団体の指導医講習会での修了証取得率は同等と考えられる。受講者数においては他の指導医講 習会を受講した医師が7割と多く、SWSは3割でした。この差をもたらす理由としては、1)当初年4回であったSWSが、現在は年2回開催となり受講機会が減ったこと、2) 開催地が大阪と東京(千葉県・海浜幕張)の定点開催であるため、受講に際して勤務地からの移動等距離的負担が大きくなることが考えられた。済生会における医師の人材開発に関する行動変容についての結果は、以下の3点に集約できた。1)SWSを含め、指導医講習会受講者の6〜7割が行動変容していた。2) いずれの行動変容もSWS受講者が有意に多く、変化なしが少なかった。3)済生会の事業をより良く理解する点ではSWS受講者が顕著であった。医師が周囲に与える影響力は大きく、一人でも多くの医師が自己を開発し、望ましい態度習慣に変容することが各地の済生会病院の発展のきっかけとなると考えられることから、指導医講習会受講に際してはSWSを選択することが済生会人の育成の観点からは望ましいと思われる。
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© 2025 社会福祉法人恩賜財団済生会
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