箱庭療法学研究
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研究報告
バウムテストの枝と包冠線について
「否定」の教示を用いた調査から
佐渡 忠洋
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2016 年 29 巻 2 号 p. 67-75

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抄録

描画態度がバウム表現にどのような影響を与えるかを理解するために,否定的教示を有するバウムテスト2枚法(2回目の描写時に1回目の表現を否定させる)を大学生48名と54名に実施した。スポットライト分析(坂本他,2012)に従い,枝と包冠線に着目してデータを検討した結果,1回目と2回目のバウムの間に,枝と分枝と分化(幹からの枝分かれ),および包冠線に変化が認められた。象徴的に,樹冠部には「見えるものと見えないもの」という対立的なイメージが見出されるが,否定的教示によって生じた描き手の能動性は,包冠線による抽象的描写から枝という具体的描写へとバウムを変化させた。

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© 2016 日本箱庭療法学会
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