箱庭療法学研究
Online ISSN : 2186-117X
Print ISSN : 0916-3662
ISSN-L : 0916-3662
原著
夢見手の自己感の様相と夢の構造の関連
粉川 尚枝松岡 利規田中 康裕河合 俊雄畑中 千紘梅村 高太郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 31 巻 2 号 p. 3-17

詳細
抄録

昨今の日本の心理臨床の現場では,現代の若者の心の構造の変化が指摘されている。本調査では,自己感という概念に着目し,現代の若者の特徴である断片的な自己像に基づく他者との関係,「悩めない」心性が,夢の構造面にどのように反映されるかを調べた。結果,自己感は夢の私の振る舞いだけでなく,夢の中で出来事が展開する土台となる場所・時間・夢の私の視点の連続性にも影響を与えることが示された。また,夢の私には葛藤状況へのとどまりにくさが見られ,これは「悩めない」心性の反映と思われる。しかし「子どもの頃」の夢に比べ,「最近」の夢では夢の私の葛藤が持続し始め,その変化には夢の私の行為主体感や他者感の影響が示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本箱庭療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top