箱庭療法学研究
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研究報告
脳血管・神経筋疾患患者の心理的回復過程
入退院時のバウムテストの変化に着目して
田福 陽子
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ジャーナル 認証あり

2019 年 32 巻 2 号 p. 15-27

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抄録

この論文では,突然脳血管・神経筋疾患を発症して心身機能障害を抱えた患者が,回復期リハビリテーション病院入院中にどのような心理的回復過程を経るか,調査と事例から検討した。認知面がある程度保たれている30名の患者にバウムテストを実施し,入退院時の比較をした。その結果,縮小が回復し,枝・幹・実などのつながりが良くなり,個性的な実の描写が増える変化が認められた。さらに4名の患者の心理的回復過程から,病気による喪失に直面した入院2,3か月頃に,過去の喪失体験や否認してきた自分に直面化する大きな転換期(象徴的な死の体験)が生じた。現実的な喪失を受け入れるためには,それらに向き合うプロセスが必要であり,その過程に寄り添う関わりが,患者の新しい人生の再出発に寄与すると考察した。

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© 2019 日本箱庭療法学会
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