2020 年 33 巻 1 号 p. 13-24
本論は,心理療法の進展を促す想像活動について検討している。それは,クライアントの想像活動が中心となるが,不安や抑うつの状態にあるクライアントは想像活動が自由に働かない場合が多い。そのため,クライアントの想像活動を援助するセラピストの関わりに注目し,事例を通して考察している。事例では,過去の体験や両親との関係にこだわり続け,否定的で固定したイメージを抱えたクライアントが,想像活動を行いながら関わるセラピストとの交流を経て,それまで抱えていたイメージが変化と広がりを持つようになった過程があった。そして,クライアントは過去や両親との関係へのこだわりから自由になり,自立へと向かった。そこから,想像活動を行うセラピストとの交流は,クライアントに心理的な遊び場を形成し,そこで固定したイメージが生きたものに変化し得ることが示唆されたと考える。